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赤い実の縁起木「千両,万両,百両,十両,一両」
(写真:万両と千両の植栽)
冬に赤い実が付く「万両(マンリョウ)」、「千両(センリョウ)」は、日本や東アジアを原産地とする常緑性低木です。「千両、万両」と並べて呼称されることも多く、正月の縁起物、お金の名前が付く観賞植物として古くから親しまれている庭木です。
両の名前が付いた縁起木
赤い実 | 呼び名 | 正式名 | 葉の特徴 |
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億両 | ミヤマシキミ |
ミヤマシキミ(億両)の葉は、肉厚でカタチが楕円形で先が尖っています。 |
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万両 | ヤブタチバナ | マンリョウ(万両)の葉は、フチが波打っています。 |
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千両 | クササンゴ | センリョウ(千両)の葉は、フチがギザギザで対生です。 |
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百両 | カラタチバナ | ヒャクリョウ(百両)の葉は、カタチが楕円形で細長いです。 |
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十両 | ヤブコウジ | ヤブコウジ(十両)の葉は、カタチが丸めで艶があります。 |
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一両 | アリドオシ | アリドオシ(一両)の葉は、細長く尖っています。茎にトゲがあります。 |
万両(マンリョウ)の木「ヤブタチバナ」
万両(マンリョウ)の正式名は、ヤブタチバナです。学名でアルディシア・クレナータ(Ardisia crenata)と呼ばれる種で、お金(両)が付く植物を代表する存在です。
古く江戸時代の頃から育種・改良されてきた観賞用の植物で、サクラやツバキに並ぶ日本の古典的な植物「古典園芸植物(こてんえんげいしょくぶつ)」の一つです。
縁起物として植えられる万両(マンリョウ)
「両」の名が付いた縁起木の中でも、「万両」は、下向きに垂れて付くその姿が "お金がぶら下がっている"と例えられ、"艶(つや)のある赤い実が美しい "と昭和初期の頃にも庭木として流行したことがあると先代から聞いたことがあります。今でも名家の庭や寺院、和風庭園などでも植えられています。
(昭和の庭に植えられている万両)
冬の観賞植物・赤い実と緑の葉が特徴・万両(正式名:ヤブタチバナ)
万両(マンリョウ)の実は、葉の下から小枝が伸び、その先端にぶら下がるように垂れて付きます。赤い実と緑の葉が特徴で、冬に観賞される植物です。
(冬に観賞される万両、正式名はヤブタチバナ)
赤い実の観賞時期
万両(マンリョウ)の結実期は、11月中旬~2月です。
晩秋から赤く熟熟していき、冬の間(春先まで)鮮やかな紅色の実を楽しめます。
万両(マンリョウ)の成長・伸びる幹
万両は、樹高~1m程度の常緑低木です。濃緑色の葉の下に赤色の実がたわわにぶら下がり、色の対比が美しい樹木です。
(写真:万両の赤い実が映える冬の庭園)
万両の幹
万両(マンリョウ)は、古い枝葉を落としながら上へ上へ伸び、毎年、実の付く位置が上がっていき、幹の部分が長くなります。
葉の下に真っ直ぐ伸びる枝
万両という名だけあり、枝先にぶらさがる艶やかな赤い実が豪華です。
万両の剪定
万両の幹が間延びしてきたら、切り戻して仕立て直しできます。
縁起木をばっさり切るのは抵抗があるという場合は、下枝が無い株元に別の植物を植えると見栄えが良くなります。
万両(マンリョウ)の葉の特徴
万両(マンリョウ)の葉は、鮮やかな緑色で艶があり、質感は厚めで、葉の縁(フチ)に丸みを帯びた波状の鋸歯(きょし)が特徴的です。葉の付き方は、一枚ずつ互い違いに交互(こうご)に付く「互生(ごせい)」です。
(枝先が束になったように見える万両の葉)
束のようになって束生する葉
マンリョウの葉の付き方は、互生(ごせい)ですが、枝先の3~5枚が密集して束状になります。このつき方を「束生(そくせい)」といいます。これもマンリョウの特徴です。
束生している枝先の葉は、節と節の間が詰まっていて、葉が束になったように見えます。
葉の乾燥
葉は乾燥すると、中心から折りたたむように幅が狭くなります。
葉が落下すると、赤い実が付いた枝になります。
万両(マンリョウ)の成長は、葉と枝を落としながら上に伸びていきます。
昨年の葉は下に向いて枯れていき落下します。赤い実が付いた枝が残る姿になります。
こぼれ種から発芽する万両(マンリョウ)
万両(マンリョウ)はこぼれ種からの発芽率も高いです。
(こぼれ種で発芽する万両)
こぼれ種からの発芽
万両(マンリョウ)の植え付けは、一般的には苗から育てますが、実を採取して種まきでも増やせられますが、人の手をかりずして親株の株元を覆うように育つマンリョウの姿もよくみられます。
野生種の万両と栽培種の万両
万両(マンリョウ)は、古くから観賞用に栽培されており、さまざまな品種が存在します。
鳥が種(タネ)を運び自然に芽生えてきます。それを自生や野生と言い、野生種なのか栽培種なのか判断することが難しいとされている植物です。
万両の品種は数十種類あり、その中でも特に似ていて混同されがちなのは、野生種の大葉万両(オオバマンリョウ)と栽培種のふつうの万両(マンリョウ)かと思います。
(写真:野生種の大葉万両(オオバマンリョウ))
野生種の「大葉万両(オオバマンリョウ)」と、栽培種の「万両(マンリョウ)」は、よく似ています。
野生種の大葉万両(オオバマンリョウ)と一般的に栽培されている万両(マンリョウ)は、一見、見分けが付かないほどよく似ています。
大葉万両(オオバマンリョウ)は、その名の通り葉が大きく、幹は細目でひょろひょろと伸び、背丈が2m以上にも成長する「常緑樹」です。
一般的に栽培されているふつうの万両(マンリョウ)は、手入れされた庭に映え、里山などで見られる野生種の大葉万両(オオバマンリョウ)は、雑木の庭に馴染むやわらかい雰囲気があります。
野生種の大葉万両(オオバマンリョウ))
大葉万両(オオバマンリョウ)は、枝が細く、葉の鋸歯(きょし)が浅く波状の幅が不規則で、葉が薄くて平たい(ひらたい)のも特徴的です。 「野生化したマンリョウ」とも言われています。
(栽培種のふつうの万両)※特定の品種ではない一般的なマンリョウ
栽培種の万両の葉は、丸みを帯びた鋸歯(きょし)が深く、波打つ間隔がほぼ同じで、成長すると葉の中心から谷折り状に巻き上がる姿も特徴的です。
(栽培種の万両(マンリョウ))
大葉万両(オオバマンリョウ)、万両(マンリョウ)の特徴・ 見分け方・違い
野生種の大葉万両(オオバマンリョウ)と一般的に栽培されている栽培種の万両(マンリョウ)の一番の違いは、葉の形状です。
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葉の縁(フチ) ・野生種の大葉万両(オオバマンリョウ)の葉の縁(フチ)は、波状の鋸歯(きょし)が浅く、波打つ間隔が不規則です。
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葉の開き具合・厚み・色 ・野生種の大葉万両(オオバマンリョウ)の葉は、薄くて平らで、濃く沈んだ緑色です。
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葉の先端 植物データによると野生種は「葉の先が長く尖っている」とあるが、個体によって異なり先端の見分けが難しい...。 |
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実の付き方 ・野生種の大葉万両(オオバマンリョウ)の実(み)は、やや疎ら(まばら)に付き、枝がひょろひょろと長く伸びる傾向があります。
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成長過程 ・野生種の大葉万両(オオバマンリョウ)の枝は、実が赤く熟す頃でも葉が落ちずに残ることが多々あります。 |
これどっち?若木の見分け方・違い
野生種の「大葉万両(オオバマンリョウ)」と、栽培種のふつうの「万両(マンリョウ)」の若木は、まだ特徴もあまり見られず、見分けが難しいです。若木を見分ける際は、葉の茂り方や葉の色合い、幹を見ます。
大葉万両(オオバマンリョウ) | 万両(マンリョウ) | |
野生種 | 栽培種 | |
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大葉万両(オオバマンリョウ)は、幹が細めで、若木のうちから枝分かれしている姿も珍しくない。葉が大型で薄く平ら。葉の色は若木でも緑色が濃い。赤い実は、疎ら(まばら)に付き、枝が細くひょろひょろと伸びる。 常緑樹で、1・5m~2mにも成長し、撓る(しなる)ように伸び3m近くになることもある。 |
万両(マンリョウ)は、幹が直立し、若木のうちから葉に鋸歯(きょし)はあるが、丸みを帯びた波状は目立っていない。谷折り状の折れはくっきり出ている。葉の色は若木でも鮮やかな濃い緑色。赤い実は、まとまって付く。 |
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・暖地の里山で野生化、海岸から山地丘陵、林内に生育、和風庭園、鳥が種を運ぶ、こぼれ種で自生、山林の湿地 | ・一般的に植栽、庭木、公園、和風庭園、鳥が種を運ぶ、こぼれ種で自生、山林の湿地 |
(野生種の大葉万両(オオバマンリョウ))
栽培種のように凛(りん)とした立ち姿が美しい万両(マンリョウ)も魅力的ですが、大葉万両(オオバマンリョウ)の野趣(やしゅ:素朴な感じの風合い)あふれる姿に心惹かれます。
花が咲く時期・万両(マンリョウ)の花は「一日花(いちにちばな)」です。
万両(マンリョウ)の開花時期は、夏(7~8月上旬頃)です。白い花が咲きます。下むきに咲く花は夜には閉じてしまう「一日花(いちにちばな)」です。1つの花がおおよそ1日しか咲かず、次々に咲いては終わります。
万両の花
マンリョウの花は白色で、花をつける茎(花柄(かへい))の付け根がややピンク色をしています。花は葉の下にぶら下がるように付き、とても小さく見落としてしまうほどひっそりと咲いています。
万両の花姿
万両の花は、枝分かれした軸(じく)の先に散形花序(さんけいかじょ)に咲きます。開いた花びらが反り返り、柱頭が長く飛び出しているのも特徴的です。花が散ると緑色の実をつけます。
万両(マンリョウ)の果実
万両(マンリョウ)の花が見られる期間は短く、1ケ月程です。8月下旬には散ってしまいます。花が散った後、軸の先に球形の果実が付きます。
(10月上旬、万両の実はまだ緑色です)
10月下旬にもなると、万両の実が徐々に色づいてきます。
晩秋になると赤く熟します。
坪庭など限られたスペースで育てる万両(マンリョウ)の手入れ
万両(マンリョウ)の幹が伸びてきた・・・・、棒状に伸びていく姿はややさみしいものがあります。庭園や坪庭など限られたスペースで万両を育てる際は、背丈をあまり高くせず、上の葉を落として成長を止めることもあります。大小の背丈の違う万両を並べて立体感を出し樹形の特徴を引き立たせています。
高低差を付けて万両(マンリョウ)を植栽
成長して間延びした万両(マンリョウ)の側に背丈が違う万両を植えると、高低差が出て景観が映えます。
万両(マンリョウ)は、放任でも樹形が大きく乱れることなく、枝分かれもほとんどせず、特にこまめな剪定を必要としない樹木です。
自然のままの樹形を楽しめます。
(写真:背丈が違う万両の植栽)
万両(マンリョウ)の株元に下草を植栽
万両(マンリョウ)の幹がひょろひょろと長く棒状になり、下の方をなんとかしたいという場合、株元に下草を植栽して寄植え風にしても見栄えがよくなります。
(下草で覆っている万両)
万両(マンリョウ)は適度に湿った水はけの良い土壌を好みます。
株元を下草で覆うことで乾燥を防ぐことができます。
万両(マンリョウ)を育てる環境
万両(マンリョウ)は強い直射日光がと乾燥に弱く、育てる環境は、明るい日陰でやや湿り気がある水はけのよい腐植質(ふしょくしつ)に富んだ土壌が適しています。
(明るい日陰で育つ万両)
(池のすぐ側に植栽されている万両)
庭園などで万両(マンリョウ)を育てる際は、乾燥を防ぐために、近くにつくばいを設けたり、庭池や小川など水辺近くに植えられます。
自生する万両(マンリョウ)
万両(マンリョウ)は、関東以南の明るい日陰の山林内に自生する植物です。 鳥さんが運んだ種が芽を出す姿も珍しくありません。
(こぼれた種から発芽してきた万両)
(写真:万両の自生)
鳥さんが好んで実(み)を食べにきます。
万両は、冬の間も春先まで赤い実(み)をつけているはずなのですが、春になる頃には、鳥さんが実(み)を食べてなくなっています。
万両はよく芽吹きます。
「山林のあちこちに万両が生えています」、「植えてもないのに庭に万両が生えた」等とよくお聞きします。野鳥が食べた実を運び、フンして芽生え、また食べにくる、鳥さん達の自給自足かと思うと微笑ましい光景です。
(自生する万両)
商売繁盛!縁起かつぎの語呂合わせ

万両(マンリョウ)、千両(センリョウ)、これにアリドオシ(蟻通し)の一両を加えて、「千両、万両、有り通し」と語り、
(意味:お金は千両も万両も一年中有り通し~♪、一年お金に困らない “ 金運に恵まれますように ” と、福徳を祈願した縁起かつぎの語呂合わせです。)古くから使われています。ヾ(*´∀`*)ノ゛
(万両、百両、千両(赤)、千両(黄)の植栽)
『両』(お金)の名が付く、めでたい植物
万両(マンリョウ)、千両(センリョウ)、 百両(ヒャクリョウ)、十両(ジュウリョウ)と一両(イチリョウ)、いずれも秋から冬に赤い実を付けます。
万両・千両・百両・十両・一両の違い、特徴・見分け方
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万両(ヤブタチバナ、藪橘)ヤブタチバナ(万両)は、葉の縁(フチ)が波打っているのが特徴的です。葉の下から枝が伸びさくらんぼのように赤い実が垂れて付きます。
ヤブコウジ科ヤブコウジ属ですが、サクラソウ科(旧ヤブコウジ科)に分類されることもあります。 |
千両(クササンゴ、草珊瑚)クササンゴ(千両)の葉は、縁(フチ)にギザギザの鋭い鋸歯(きょし)があります。葉の付き方は対生(たいせい)で二枚の葉が向かい合っています。実は枝の先端にまとまって付きます。
センリョウ科センリョウ属の常緑低木です。 |
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百両(カラタチバナ、唐橘)カラタチバナ(百両)の葉は細長く先端が尖っています。実が葉の下に付き万両に似ていますが、軸が短いのが特徴です。
ヤブコウジ科ヤブコウジ属の常緑小低木です。 |
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十両(ヤブコウジ、薮柑子)ヤブコウジ(十両)は、山林など藪(やぶ)の中に自生し、葉の形が柑子蜜柑(こうじみかん)に似ていることから「ヤブコウジ」といわれ、実の付きが少なく小さいです。
ヤブコウジ科ヤブコウジ属の常緑小低木です。 |
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一両(アリドオシ、蟻通し、有通し)一両(アリドオシ)の葉の付け根に細長い棘(とげ)があります。葉は対生(たいせい)で2枚の葉が節から対になって出ます。
アカネ科アリドオシ属の常緑小低木です。 |
億両(ミヤマシキミ)の赤い実
億両(ミヤマシキミ)の葉は、肉厚で革質です。カタチが楕円形で先が尖っています。葉に強い芳香があります。
実(み)が大粒で、千両、万両よりも大きな赤い実をつけることから「億両」といわれるようになったようです。
(100,000,000両)
億両(ミヤマシキミ)の背丈は、1m程度の常緑低木です。
雌雄別株で雌株(めかぶ)に果実が実ります。
万両(ヤブタチバナ)の赤い実
万両(ヤブタチバナ)の葉は、波打ったフチが特徴です。葉の下に沢山の赤い実が垂れて付きます。
(10,000両)
万両(ヤブタチバナ)の背丈は、1m程度の常緑低木です。
環境が良いと、150cm程(腰高)に成長します。
千両(クササンゴ)の赤い実
千両(クササンゴ)の葉は、フチにギザギザの鋸歯があるのが特徴です。上に向かって伸びた枝の先端に赤い実がかたまって付きます。
(1,000両)
千両(クササンゴ)の背丈は、1m程度の常緑低木です。
株立ちで地際から沢山の枝が生えてきます。
正式名の通り、(草)サンゴのような樹形になります。
百両(カラタチバナ)の赤い実
百両(カラタチバナ)の葉は、先端が尖っていて細長く、縁(フチ)に小さな鋸歯(しょし)がありますが目立つ程ではありません。背丈はさほど大きくならず1m未満で、実も小振りです。
(100両)
百両(カラタチバナ)の背丈は、50~70cm程度の常緑小低木です。
葉の下に実がつき、万両と似ていますが、百両は、実がまとまって付き、軸が短いのが特徴です。
十両(ヤブコウジ)の赤い実
十両(ヤブコウジ)の葉は、ややツヤがある濃緑色で丸みのあるカタチが特徴です。赤い実がぶら下がって付きます。実の付きは疎ら(まばら)で小さめです。
(10両)
十両(ヤブコウジ)の背丈は、20~50cm程度の常緑小低木です。
地下茎を伸ばして低く茂ります。ぶら下がった赤い実が葉の下に隠れてあまり目立ちません。
一両(アリドオシ)の赤い実
一両(アリドオシ)の葉は、大葉と小葉が交互に対生(たいせい)に付き先端が鋭く尖っているのが特徴です。葉のつけ根に鋭いトゲがあり、小枝を多数分枝しながら横にも広がるように成長します。樹林下など半日陰でも育ちます。実の付きが少なく、1枝の束に1つか2つ程です。
小さなトゲを持つ「一両(アリドオシ)」は、魔除けにもなるとされています。
(1両)
一両(アリドオシ)の背丈は、60cm程度の常緑小低木です。
赤い実の先端に穴があいた棘(とげ)のような突起(とっき)は、花の萼片(がくへん)が残ってヘタとなったものです。
お金の名前「両」が付く順は、苗の価値?樹高?
古く昔は、苗の価値(お金)順で名前をつけたという説もありますが、樹高順(樹木の背丈順)で名が通っている地域もあります。
そうなると、一両の「アリドオシ」は50cm以上にも育つことがあり、十両より背丈が高くなるということから、十両よりも樹高が低い「ツル アリドオシ(蔓蟻通)」があります。
「ツル アリドオシ(蔓蟻通)」
万両・千両・百両・十両・一両を、樹高の高さを基準に呼ぶ地域では、一両を「アリドオシ(蟻通)」ではなく、茎が地面を這って広がるツル性の「ツル アリドオシ(蔓蟻通)」を一両(イチリョウ)と称されています。
≫ 和名の由来 「ツルアリドオシ(蔓蟻通し)」を一両と呼び
(近畿中国森林管理局のホームページ)
千両万両有り通し、「両」が付く植物の分類(科)
万両・千両・百両・十両・一両、どれも「両」が付くお金の名前で、赤い実が付く似たような姿ですが、園芸上では植物の分類が異なります。
マンリョウは、サクラソウ科のヤブコウジ属に属する常緑低木で、かつてはヤブコウジ科に分類されていましたが、分類の見直しによりサクラソウ科に組み込まれています。千両はセンリョウ科で、一両(イチリョウ)はアカネ科で、百両・十両はいずれもヤブコウジ科です。
万両(マンリョウ)があるお庭
万両(マンリョウ)は、ぶら下がる赤い実を観賞される花木です。波打った常緑の葉が冬でも青々としてお庭を彩ります。
(常緑低木で年中緑の葉が付いている万両)
万両(マンリョウ)は、春に新芽が出始め、夏に白い花が咲き、花後すぐに緑色の果実が付きます。晩秋になると実(み)が赤く熟し、冬は真っ赤な実を観賞できます。
万両(マンリョウ)の植栽
万両(マンリョウ)は、和風庭園の生垣や仕切り、アプローチや花壇にも植えられています。
万両通り
縁起木で知られる万両は、お正月飾りにも使われます。初詣などで通行される方にも和の風情を楽しんでいただけます。
万両(マンリョウ)の地植え
万両(マンリョウ)は、関東以南の暖地では地植え(庭植え)で育てられます。
強い直射日光が当たらない明るい日陰~半日陰を好みます。
万両(マンリョウ)の植え付け時期
地植え(庭植え)する万両(マンリョウ)の植え付けは、年2回の適期があり、4~5月頃か9~10月頃です。
万両(マンリョウ)の植え付けは、気候が良くなる4月か9月が最も適しています。
寒い時期に植えると枯死してしまうこともあります。
(寒冷地の地植え(庭植え)は、5月頃が植え付け適期です。)
万両(マンリョウ)を育てる場所
万両を植える場所は、強い風が直接当たらない中庭にも適しています。木陰ができる高木の下や塀(へい)の側などでも育ちます。
(中庭で育てる万両)
万両は下葉がなく、間延びしたようになります。地際(じぎわ)から生えてくる芽を伸ばし、高低差を付けると樹姿のバランスが良くなります。
(高木の下で育てる万両)
万両(マンリョウ)は、成長するにつれて上に伸びていきます。塀や壁ギリギリの場所に植えてしまうと傾いて成長してしまいます。
生長後の枝張りを見越して背後との間隔をややあけて植え付けます。
万両(マンリョウ)は日本の気候によく合います。
万両(マンリョウ)の正式名は「ヤブタチバナ」といいます。原産地は日本など東アジアです。日本のジメジメとした気候にも良く合い、明るい日陰の山林に自生しています。
(写真:山林に自生している大葉万両(オオバマンリョウ))
万両(マンリョウ)を庭で育てる際は、やや湿気がある林をイメージして、木立ちから太陽の日差しが入るような漏れ日(こもれび)を作ると万両にとってよい環境です。
(山林に自生している万両)
万両(マンリョウ)の水やり・水辺近くに植栽
万両(マンリョウ)を植え付けた後は、たっぷりと水やりをします。一度根付いてしまえば自然雨だけで育ちますが、万両は乾燥に弱く、晴天が続いて土の表面が乾いている場合は、水やりを行うようにします。
(水辺付近に植栽している万両)
庭池や小川、水辺付近に植栽する万両(マンリョウ)
万両(マンリョウ)は適湿な環境を好みます。湿気を好む植物を庭池や小川付近に植えると猛暑が続く夏の間も湿度を保つことができます。
株元を下草で覆うと乾燥を防ぐことができます。
万両の赤い実が付いている期間
万両(マンリョウ)は、初夏に小さな白色の「一日花」を多数下向きに咲かせ、花後につく球形の実は、11月頃から赤く熟します。
(写真:花が咲く頃でも実が落ちずに残っている万両)
赤い実が春先まで落下せず残ることもあります。
万両の花は、雌しべ(めしべ)が長く突き出している姿が特徴的です。
万両(マンリョウ)の葉茎・赤い実が付く枝
万両(マンリョウ)の実が付く枝は、葉の付け根の「葉腋(ようえき)」から伸びてきます。 成長と共に古い葉が枯れ落ち、伸びた枝の先端に花が咲き実がなります。実は赤く熟し、やがて枝も枯れ落ちます。
(写真:葉の付け根(葉腋)から枝が伸びてくる万両)
枝が伸びてくる位置
実が付く枝は、葉の付け根から伸びてきます。
生長すると新しい枝になります。
幹の特徴・落ちた枝の跡が残る万両(マンリョウ)の幹
万両(マンリョウ)は、古い枝葉を落としながら上に伸びていき、実の付く位置が毎年上がっていきます。
(万両の幹の丸い節(ふし))
幹の表面
幹の表面にある丸い凹凸(おうとつ)は、枝が落ちた跡の節(ふし)です。
万両(マンリョウ)の増やし方
万両は、挿し木とタネまきで増やせます。実がつくまでは、3~5年かかります。
(実を付けた小さい万両)
万両の挿し木
万両を挿し木で増やす際は、6月頃に枝を数cm(約3cm~5cm程)切り、挿し木用土にさして管理します。秋には発根します。
万両(マンリョウ)は苔(こけ)と相性が良いです。
万両(マンリョウ)は、和風の庭・茶庭によく馴染みます。和風の庭に欠かせないのが苔(こけ)です。万両は苔(こけ)と相性が良いです。
(趣のある和風の庭に馴染む万両)
(苔(こけ)がある庭の万両)
(和の情緒が漂う坪庭に映える万両)
和の坪庭
湿気を帯びた緑の苔や苔に覆われた石、水を溜めるつくばいがあり、手つかずの自然を再現した庭木、和の情緒が漂う庭に万両(マンリョウ)があると和が引き立ちます。
(茶庭に植えられている万両)
茶庭
茶庭には、飛石や敷石が埋められており、植える植物は、苔やシダ、竹など緑色のものが多いです。
万両(マンリョウ)は常緑で、紅葉はしないですが、四季折々の風情はないにしても、緑色のものが多い茶庭に万両の赤い実がとてもよく映えます。
万両(マンリョウ)の樹形・仕立て方・剪定
万両は、枝の樹形もあまり乱れることもなく自然樹形を楽しむ樹木です。枝分かれせずまっすぐ上に伸びていきます。成長は遅めですが、樹高は1mくらいになる常緑低木です。剪定は、4月~5月に行います。
万両の剪定・幹がヒョロヒョロ・・・!?
万両は、幹が上へ上へと伸びていきますので、年月が経つにつれて下の方は枝葉がなくなっていき、間延びしたようにな樹形になります。
太い幹の姿だと上部だけに葉がある樹形も立派なのですが、日陰で育てていると幹がヒョロヒョロとなりがちです。
「縁起の良い木なのになんだか貧弱で見栄えが悪い?」というお話もよくお聞きします。
万両の剪定・幹を切り詰める
万両の幹が伸びてきたら、新たな芽を育てるためにばっさりと切り落とします。
切り詰め剪定は春(4月~5月)が適期です。
(※新たな枝となる芽が出てきますが、2~3年間は実がつきません。)
ひょろひょろと間延びした株立ちの万両(マンリョウ)の手入れ
万両(マンリョウ)は常緑低木(じょうりょくていぼく)で、樹高が30cm以上1m未満の木に分類されていますが、日照や土壌の環境、手入れや肥料によっては、1mを超えるまでに成長することも珍しくありません。
(間延びした万両)
比較的、株立ちで育った万両の幹はひょろひょろとしていて、伸びすぎると間延びして少々不格好になってしまいます。
万両の剪定・手入れの目安
1つの株(1つの根)から複数の幹が立ち上がった万両(マンリョウ)の「株立ち」は、栄養が分散されるため1本の幹が細めです。
ひょろひょろして生育が弱い場合は、実が終わった2月中旬〜3月に肥料を与えます。
(ひょろひょろと間延びした万両)
手入れ方法
ひょろひょろと間延びした万両(マンリョウ)の手入れは、主に4つの方法が用いられます。
(1)バランスが悪くなった幹の途中で「切り詰める」、
(2)「取り木」にして植え替える、
(3)地際から生えてくる芽を伸ばして「高低差を付ける」、
(4)株元に別の植物を植える、
など、成長度合いや環境によって手入れをしていきます。
万両だらけ?地際(じぎわ)から次々に生えてくる万両の実生(みしょう)
万両(マンリョウ)は実生(みしょう)の発芽率が高く、地植え(庭植え)すると地際(じぎわ)から次々に芽が出てきます。放置すると嬉しいやら万両だらけになります。
(次々に芽吹いてくる地植えの万両)
但し、万両の実生(みしょう)は、実が落下して発芽するまでに早くて半年、通常環境で1~2年はかかります。地上に芽を出してから結実するまでに3~5年かかります。地際から次々に芽吹いてくるのは3年あたりからです。
地植えの万両の育て方・剪定
地植え(庭植え)している万両(マンリョウ)の剪定は、古く勢いがなくなった幹を切り詰めて、下から生えてきた若い芽を伸ばし、交代させるように更新して育てます。
(敷地内の区切りに植栽すると生垣風になります。)
万両(マンリョウ)の樹形・仕立て方
万両(マンリョウ)の樹形は、幹(茎)が真っすぐ伸びた「1本立ち」が基本の姿ですが、成長していくと地際(株元)あたりから芽を吹き、新しい枝(幹)が成長すると「株立ち(かぶだち)」のような樹形になります。
万両の根が広がり地際から芽が出て、複数本の幹が立ち上がってきます。 | 万両の主幹(主枝)の途中から芽が出ると、自然と枝分かれします。 | 生えてくる芽を摘むと、枝分かれしていない単幹仕立てになります。 | ||
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竹林の和風庭園に映える万両(マンリョウ)
竹が生み出す和の風情は格別なものがあります。竹林は「これぞ!ザ(The)・日本」の和を演出する代表的な庭です。
竹林の植栽は、基本的にすっきりとしたシンプルな空間で構成されています。そこに低木の万両があると、互いの魅力が引き立ちます。
(竹林の中に生える万両)
竹林に植栽する万両(マンリョウ)
竹を使った庭園で育てる万両は、背丈を低めに仕立てると直立する竹とのバランスが良いです。
見事な万両!傘状に開いた葉が二段仕立ての万両
万両(マンリョウ)の葉が二段になっている見事な万両を近年よくお見掛けします。二段仕立ての万両(マンリョウ)は、成長すると目を奪われるほど見応えがあります。深緑の葉の下に赤い実が二段になり、生育がしっかりして重みを支えるだけのりっぱな太い幹です。葉の下の小枝も太目です。
(二段仕立ての万両の植栽)
(1・5mにもなる二段仕立てのオオミマンリョウ(大実万両))
葉の傘が二段になる万両は、同じ品種でも下枝の葉が自然と落ちることもありますが、豪華絢爛(ごうかけんらん)な枝っぷりが露わに(あらわに)なり目を奪われます。
万両(マンリョウ)の樹形・環境で異なる樹高と葉の茂り具合・仕立て方の違い
庭園など庭を造成する際、どのような苗を植え付けるか検討を重ねます。暖地で育てる万両は、背丈がやや高く上部の葉を少な目に軽く仕立てます。
(雪が積もった万両)
積雪がある地域の万両は、上部の重みで倒れないように幹を太らせ背丈は低めに、葉は実を守るように多めに茂らせる傾向にあり、気候の環境によって仕立て方・樹形を考慮します。
暖地で育てる万両 |
積雪地で育てる万両 |
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葉の茂り:少なめに 樹高:やや高め |
葉の茂り:やや多め 樹高:低めに |
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(写真:積雪地の万両)
万両(マンリョウ)の高さを調整する剪定方法
万両(マンリョウ)は、枝数も少なく定期的に剪定する必要はありませんが、成長につれて間延びして樹姿が悪くなります。 万両の高さを調整する際は、「切り戻し」か「芯止め(しんどめ)」か「取り木(植え替え)」のいずれかになります。どれも樹高を抑え(おさえ)る剪定方法です。
「芯止め」も「切り戻し」も剪定時期は同じです。気候がよく成長が盛んになる4~5月頃が適期です。
・切り戻し剪定
伸びすぎた万両の主幹を切り詰めて脇芽を伸ばします。
ひょろひょろと間延びした幹(みき)の途中で切って、新たな芽を吹かせる方法です。切った位置の下から新しい枝が伸びてきます。
・芯止め(摘心)
成長点(先端)をカットして上へ伸びる成長を止めます。
高くなり過ぎる前に、最先端部分の葉の束を切り落として、上へ伸びる成長を止めて、低く維持する方法です。脇芽が成長します。
万両(マンリョウ)の剪定方法・伸びすぎた万両の「切り戻し」
万両の「背が高くなり過ぎた」という場合は、主幹(幹)の途中を切って仕立て直しできます。切り詰め剪定(切り戻し剪定)をした万両は、一時的にも幹が1本の棒(ぼう)になりますが、切ったその下から芽吹いて枝分かれします。
(図解:万両の切り詰め剪定(切り戻し剪定))
主幹を切った後の成長
主幹を切って新しい枝を育てます。側枝(そくし)が1本の場合もあれば、2本に分かれることもあります。実が付く枝が増えます。
(複数に枝分かれした万両は、上部が膨らむように成長します)
枝分かれした万両の成長
枝分かれすると枝同士の間隔によっては上の方が混み合って膨らむような樹姿になりがちです。
葉枝がモッサモッサにならないように管理し、4~5年を目安に剪定していきます。
切り戻し(切り詰め)剪定は、比較的スペースがある公園や庭園向きです。
万両(マンリョウ)の剪定方法・これ以上伸びないでほしい高さで「芯止め」
万両が「高くなりすぎないように」という場合は、最先端部分(頂点の葉(芽)の部分)を切り落とすと、上へ伸びる成長が止まり、脇芽が成長していきます。「切り戻し」とは違って、葉や枝を残したまま成長段階で行います。
(図解:万両の芯止め(摘心)剪定)
芯止め(摘心)
万両は、頂点から新芽が伸びます。芯止めは、これ以上は伸びないように成長点を切り落として背丈を調整する剪定方法です。
(芯止めした万両は広がるように成長します)
芯止めした万両の成長
芯止めすると枝数が増えて横に広がるように成長しボリューム感が出てきます。
万両(マンリョウ)の芯止めは、限られたスペースで育てる坪庭向きです。
万両の樹姿を維持したまま仕立て直す・取り木(植え替え)
万両(マンリョウ)は、枝数も少なく定期的な剪定をする必要はありませんが、成長につれて下葉が落ちて背丈が伸びてきます。高さを低くしたいけど「樹姿を変えたくない」という場合は、「取り木」をする方法があります。樹皮を剥いで水ゴケを巻き、ビニール等で包んで発根させる方法です。取り木の時期は、5〜6月が適期です。花が咲く前に行います。
(取り木は、植わっている木をそのまま使います。発根したら幹を切って植え替えします。)
万両(マンリョウ)の手入れ・小枝が、ぐねりと曲がる!?
万両(マンリョウ)は日常的な手入れをさほど必要としない木ですが、茂り過ぎたり、密生していると樹形が乱れてきます。
万両(マンリョウ)を複数並べて植える際は、互いの成長の妨げにならない程度の間隔をあけるようにします。密生していると成長に影響します。
(実が付いている枝が曲がって伸びている万両)
枝先は日の光を求めて伸びていきます。茂った葉の中では伸びる方向が定まりません。
(枝葉が密生している万両)
葉を透かす
葉枝がよく茂る万両は、4~5年を目安に軽く切り落とします。万両の枝を剪定する際は、実が終わった4~5月頃が適期です。
葉を透かすように剪定すると幹・小枝が見え風通しが良くなります。
(枝が曲がって伸びた万両)
万両の小枝
万両(マンリョウ)は、小枝が外に伸びていきます。
枝が葉で覆われていると葉の間から日差しがある方向に向かってぐねっと曲がって伸びていきます。
伸びる方向を妨げないようにしておくと枝が真横に伸びやすくなります。
万両(マンリョウ)の葉を、軽く間引く程度に剪定
万両(マンリョウ)は、もともと剪定を必要とする木ではないのですが、近接に複数密生していると樹形が乱れてきます。カイガラムシ等の害虫も発生しやすくなります。風通しが良くなる事で、病害虫の繁殖を予防できます。
(落下した種から芽を出して密生している万両)
増えて困る際は、地際(じぎわ)から生えてくる芽を摘み株元を整理します。
隣接する枝葉が互いに混み合う際は、新しい枝を残して伸びている古い枝や葉を切り取ります。葉や下枝を剪定する際は、軽く間引く程度に留めておき、極端に葉や枝を少なくしてしまうことがないように注意します。
万両(マンリョウ)の手入れ・根っこが張り出している?!
地植え(庭植え)していると、雨や水やりなどで土が流れて減ってきます。万両(マンリョウ)の根(ね)が表面に露出して太い根が見えている場合は、土をかぶせて浮き上がった根を土と一緒に押さえます。万両(マンリョウ)は乾燥に弱く、浮き上がった状態の根(ね)を放っておくと弱ってしまいます。
(根っこが張り出している万両)
土が痩せてきた
目に見えるほど土が減ってきて土壌が固く水はけが悪くなるのは、土が痩せてきています。
万両の根は細めです。根を切らないように注意しながら固くなった土を耕して柔らかくしてから肥料を与えて、土に栄養素を補給し生長を促進させます。
万両(マンリョウ)の手入れ・強風にあおられて倒れてしまった?!
万両(マンリョウ)は頭デッカチなわりには、根(ね)は細めで、細根(ほそね)も少ない低木です。長雨などでぬかるみが起きると傾いたり、強風に煽られ(あおられ)て、倒れこんでしまうこともあります。
(根っこは抜けずに辛うじて倒れなかった万両)
倒れこんだ万両(マンリョウ)は自力で起き上がってきません。重心が安定していないため転倒する恐れが高いです。
若木で成長に勢いがある頃は、倒れこんでも上にむいて伸びていく場合もありますが、幹がぐねりとヘンテコな木姿になります。
(支柱を立てた万両)
倒れた万両は、「支柱」を立てて対処することができます。
倒木防止・支柱で補強
支柱を立てる際は、竹など天然の資材を活用して地面に埋め込み縛り(しばり)ます。縛る紐(ひも)も天然素材のものが理想です。
万両(マンリョウ)の手入れ・葉が焼けたように黒くなっていく?!
万両(マンリョウ)は、夏の強い日差しや直射日光に長時間当たる場所では、「葉焼け」を起こします。
(葉焼けした万両)
葉やけ
葉の色が黒っぽく焼けたように変色して部分的に枯死している場合は葉焼けが疑われます。
(葉や実がバリバリに乾燥している万両)
夏の間だけでも、遮光ネットを張るなどで対策できます。
万両を育てる良い場所
万両(マンリョウ)の近くに落葉樹があると、落ち葉が湿気を含んでマルチング材になります。
(落葉樹の近くで半日陰ができる場所に植栽している万両)
半日陰の場所
万両の周辺に樹木の木陰(こかげ)があると、直射日光を遮る(さえぎる)ことができ、半日陰は万両を育てるのに良い場所です。
万両(マンリョウ)の剪定・葉を全部切り落とした!?上の葉がない万両??
万両(マンリョウ)の新芽は、頂点から伸びます。先端の芯を摘むと上に伸びる成長が止まり、葉や茎に栄養が回り、幹が立派になるとはいわれますが、大胆にも葉を全部落としてしまうと、光合成ができずに枝枯れを起こしたり、実が付かなくなってしまいます。
(上部の葉を全部切り落としてしまった、悲しい万両の姿)
万両の芯止
新芽が出る先端を切り落とす剪定を「芯止め」といいます。万両を芯止めする際、上部の葉を全て切り落すことはしません。葉を残すのが基本です。
万両(マンリョウ)の手入れ・葉や茎がしおれてきた?!
万両(マンリョウ)は乾燥に弱いです。西日が強く当たって乾燥する場所が苦手です。土(地面)の乾燥状態が続くと根が乾きすぎて「水不足」になります。
葉が全体的に下を向いてグッタリ、枯れたように萎れ(しおれ)ている場合は、「水不足」が考えられます。
(葉も枝もしおれている万両)
水不足
葉が完全に枯れていない場合は、水やりをして様子をみますが、頻繁(ひんぱん)な水やりは必要ありません。
晴天が続いて乾燥している場合は水やりを行います。
万両を育てる良い環境づくり
万両(マンリョウ)は、けっこう水を吸い上げます。万両の近くに水辺があると、湿気を含んだ環境が作れます。
万両(マンリョウ)は強い西日が当たる直射日光が苦手です。
万両の近くに塀(へい)や木陰があると明るい半日陰が作れ、万両を育てる良い環境です。
さらに、万両の株元に別の植物を植えると、乾燥を防げられます。
(写真;乾燥と直射日光を防いで植栽している万両)
マンリョウの種類は、赤実の定番の「マンリョウ」はもちろん、白い実の「シロミノマンリョウ」や黄色い実の「キミノマンリョウ」もあり、大きい実が付く「オオミマンリョウ」や、葉に斑が入る「フイリマンリョウ」など、特徴的な外見を持つ品種も魅力的です。
万両(マンリョウ)の新種です。赤紫の葉の万両・紅孔雀(ベニクジャク)
赤みを帯びた葉の万両「紅孔雀(ベニクジャク)」は、万両の偶発実生から選抜を繰り返した品種です。新芽が紅色の葉で晩秋になると斑が赤紫に色づき、季節によっても葉の色が変化を楽しめます。育て方や手入れは一般の万両と同じです。 秋~冬に赤い実をつけます。
斑入り品種の万両「紅孔雀(ベニクジャク)」の葉は、上のほうの若葉は赤みが強く、成長につれて深緑色が増えていきます。
育てる場所は、直射日光が当たらない木陰など明るい日陰が適しています。
万両の中でも特に実が大きい大粒品種です。大実万両「宝船」
富と財産の大粒で知られている大実万両「宝船」(オオミマンリョウ「タカラブネ」)は、万両の中でも特に実が大きいの品種です。
幹が太目で、小枝もしっかりしてざっくざっく沢山の実をつけます。 大粒の実が付いたまま、花が咲く初夏まで落ちないほど長い期間ぶら下がっていることから、「長く栄える」ともいわれる見ごたえがある万両です。
「宝船(タカラブネ)」の実は、一般的な万両に比べ球体の粒が大きめで、色も鮮やかで艶(つや)もあります。
観賞用として日本で栽培が多い品種です。鉢植えとしても広く流通しています。
地植えすると大きく成長します。
白い実がつく清楚な印象の万両です。白実の万両(シロミノマンリョウ)
白い実が付く「白実の万両(シロミノマンリョウ)」は、万両の園芸品種です。濃緑色の葉と白い実のコントラストが清楚な印象で、古来を感じるアンティークな雰囲気が漂っています。白実の万両(シロミノマンリョウ)は、日本で自生も見られます。
白実の万両(シロミノマンリョウ)の育て方や手入れの仕方は赤い実の万両(マンリョウ)と基本的に同じです。
白実の万両(シロミノマンリョウ)の実の色は、純白の真っ白ではなく、ややクリーム系の黄白色の実です。
紅白万両で祝い樹
万両(マンリョウ)は、正月の縁起物として、実の美しさを観賞する目的で植えられることが多い庭木です。 白い実の万両は単独で育てるというより、赤い実の万両と並べて植えられることが多いです。
(紅白で植栽している万両)
紅白万両の植樹
万両(マンリョウ)の実の観賞がお正月を挟むこともあり、紅白並べてさらに「めでたい」とされ、縁起を担いだ寄せ植えです。
正月飾り・金運の願掛け
「千両、万両、有り通し」は、「幸福」と「長寿」を合わせた福寿草(フクジュソウ)と同様に、金運の願掛け、縁起物として親しまれています。
(写真:松と万両の正月飾り)
(写真:松と千両の正月飾り)
松と赤い実の正月飾り
正月に松を飾る風習は、平安時代から始まったと言われています。万両千両はめでたい名前が好まれています。
万両千両は江戸時代から栽培されており、千両の枝を摘み取って正月飾りにしたり、万両の盆栽を正月の間は床の間に飾っている~という方もおられます。
千両(センリョウ)の植栽・剪定・手入れ
千両(センリョウ)は、地際から沢山の枝を出す常緑性の低木です。(一年中、葉を茂らせています。)
千両(センリョウ)の育て方・手入れ
千両(センリョウ)は、強い直射日光や西日が苦手です。一年を通して半日陰の場所で育てます。
千両(センリョウ)は、地面から沢山の枝が出てきますので、枝が茂りすぎると根元が蒸れ葉が枯れてしまいます。
センリョウの花は、6〜7月にかけて咲きます。花はとても小さく、白色で控えめな印象です。
千両の剪定
千両(センリョウ)は、3、4年以上経った古い枝や細い枝には実が付かなくなりますので、地際から剪定していきます。
千両(センリョウ)の剪定は、赤い実が付いている頃(12月~1月)が適期で、若い枝を残して育てるのが基本です。剪定し過ぎると実の付きが悪くなることがありますので整える程度にしておきます。
日本古来から植栽されている、「寿ぎ」と「財産」の花言葉を持つ縁起木
万両の木・千両の木
万両(マンリョウ)や千両(センリョウ)は、料亭や茶室の坪庭にもよく映えます!万両の花言葉は、「寿ぎ」「財産」「徳のある人」「金満家」「慶祝」です。千両(センリョウ)の花言葉は、「利益」「富」「財産」「裕福」「恵まれた才能」です。
万両(マンリョウ)や千両(センリョウ)があるお庭は日本の植物文化を語れます。是非、万両がある和風庭園へも海外からのお客様をお連れ頂ければ造園職人としても嬉しく思います。
山崎造園では、坪庭や茶室の造園、和風庭園の作庭、建物周辺の庭工事、アプローチや生垣の設置・解体工事、庭の増改築、庭木の入れ替え、庭のリフォーム全般、植栽工事等、斜面や高所作業も承っております。
万両が枯れてきた、実が落ちていく、赤い実が付かない、など、千両万両の手入れや害虫駆除についてもお気軽にご相談ください。
職人による門松製作も行っております。
主要地域 :造園工事も対応いたします!
兵庫県宍粟市内(一宮町、山崎町、千種町、波賀町)、姫路市、たつの市、揖保郡、佐用郡、神崎郡、朝来市、福崎町、他 ,
高砂市、加古川市、太子町、相生市、赤穂市、加西市、小野市、加東市、三木市、西脇市、明石市、播磨町、稲美町、市川町、神戸市)
傾いたまま成長している自生の万両(マンリョウ)
2024.1.20
「万両(マンリョウ)」は、明るい日陰の山林に自生しています。「幹が曲がったまま成長している自生の万両がある」と聞き、ここまで来たのですが、鳥さんが運んできた万両があちこちにあり、(どれなのか?)...
万両だらけの裏参道付近をウロウロ、半ば諦めかけていた時、見つけました!傾いたまま成長している自生の万両です!!
自生の万両強い!頑張れ~!
山崎造園のブログ「傾いたまま成長している自生の万両(マンリョウ)」の記事でも紹介しています。
地域の方々で万両(マンリョウ)を植栽
2021.11.30
山の麓(ふもと)に地域の方々がボランティアで植えた万両(マンリョウ)があるというので見てきました。
この辺りは、高木ばかりで低木が植わっていない場所でした。
これからは、「万両通り」と呼ばれるようになるかもしれませんね(*^▽^*)
山崎造園のブログ「地域の方々が植えた万両」の記事でも紹介しています。
赤い実の縁起木・万両(マンリョウ)
2018.12.17
寺院のお庭です。もうすぐ年末年始です。新しい年の寺院は大勢の人が訪れます。
「寿ぎ」と「財産」の花言葉を持つお金(「両」)の名が付いた万両(マンリョウ)は、正月飾りにも使われています。
万両(マンリョウ)は、古い枝葉を落としながら上に伸びていく性質があり、最初は1本でも地際から芽が出て、株立ちのような樹形になります。
万両の赤い実は、冬の間~春(3月頃)まで長く楽しめる(はず?)なのですが、多くの場合は、春まで実を見ることなく鳥が食べてなくなります。ここの万両もすでに半分は実が付いてなく食べられた痕跡がありました(笑)
山崎造園のブログ「赤い実の縁起木・万両(マンリョウ)」の記事でも紹介しています。
剪定と手入れで回復!実が付いたナンテン(南天)
友人宅のナンテン(南天)です。 「今年は沢山の実が付いた!」と連絡があり見に行ってきました。
実は3年前。「実の付きが悪く、葉の茂りも貧弱になった・・・」~と、相談をうけた頃は、ひょろひょろに伸びた状態で、古く弱っていた幹や枯れかかった枝を間引き、新枝を出すように剪定し、その後肥料やりをするなどで見守っておりました。
ナンテン(南天)の剪定は、2~3月頃に行います。
低い位置に小枝が付きません。その性質を活かし樹形を造る際は、奥側の背丈を高くし、手前を低く仕立て、見栄えも良くしました。こうして実が垂れるほど付いたナンテン(南天)を見ながら造園職人であることを嬉しく思います。
山崎造園のブログ「ナンテン(南天)」の記事でも紹介しています。
12月 宍粟市周辺の見どころ
宍粟市は兵庫県中西部に位置し、地域の人々により守り育てられている“豊かな自然”や、四季折々の花が咲き誇る“花の名所”が各地にあります。 宍粟市周辺のおすすめ観賞スポットにも是非訪れてください。
南天(ナンテン)の木に囲まれた手水鉢がある神社
御形神社(みかたじんじゃ)
宝亀三年(772年)建立で、1200年以上の歴史を持つ「御形神社」は、朱の垣に囲まれた社殿があり、昭和42年に国の重要文化財に指定されています。正福寺桜という兵庫県固有の珍しい桜が見られ多くの人が訪れます。
御形神社には、南天(ナンテン)の木に囲まれた手水鉢があり、悩みを水に流すことでも知られています。
・ 場所 : 兵庫県宍粟市一宮町森添280
(中国道山崎ICから車で約40分)
・ 詳しくは→御形神社 ご神水と南天
(御形神社のホームページ)
(ナンテン(南天)の赤い実)
(ナンテン(南天)の正月飾り)
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